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逸脱の伝染 (後半)

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                   発行 高橋 祐司

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━━【要約】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
 「ダイアネティックス」とは『心を通して」あるいは、
「魂を通して」という意味です。

(「~を通して」という意味の「dia」と、「心」あるいは「魂」という意味の
  「nous」というギリシャ語に由来します)。

 それは、調和の取れた公理体系であり、人間の振舞いや心因性の病気に
関わる問題を解決します。正気をより高めるための、効果のあるテクニックと
徹底的に検証された手法が組み合わせられたもので、これは望ましくない感覚や
不快な感情などを消去することによって行われます。
                「ダイアネティックス:科学の進化」より
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   悲嘆のダイアネティックス
   ダイアネティックス対精神分析学

  ②未知の国:心(探検家ジャーナル1950年冬、春号の中で探検家クラブより発行)

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購読者さん

 ダイアネティックス協会の高橋です。
ご購読いただきましてありがとうございます。

初めての方は、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

今回は、ダイアネティックスの著者、L.ロン ハバード氏の
書籍「ダイアネティックス:心の健康のための現代科学」から
《逸脱の伝染》の後半をお届けします。


前半はこちらからどうぞ。
http://www.dntokyo.com/magazine/150.html
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ダイアネティックス:心の健康のための現代科学


          逸脱の伝染 (後半)


 このエングラムはいくつかの点で非常に破壊的です。母親の声は子供の
誕生のエングラムを再刺激するかもしれません。

子供の存在は、母親の産みのエングラムを再刺激するかもしれません。
このようにして、お互いが再刺激的な存在になるのです。

彼らが他にも共通の再刺激要因を持っていることを考えると、人生後期の
状況がエングラムを刺激してふたりを同時に苦しめることになるかも
しれません。

生まれた時に窓がバタンと閉まる音があったとすれば、窓をパタンと閉める音はバ
誕生時のドラマ化をふたりに同時に引き起こす引き金となるかもしれません。

それは敵意や無気力につながっていくかもしれません。

 万が一でも医者が腹を立てたり絶望的になったりすると、誕生の感情の
トーンは深刻なものになるかもしれません。

医者が少しでも何かを話せばその会話は母親と子供の双方に完全に反応的な
文字通りの意味で受け取られます。

 可能な場合には、多くのケースで母と子の両方をクリアーにしました。

あるケースでは、母親が「恥ずかしい、恥ずかしい」(ダイアネティックスで
クリアリングを行っている最中に子供がきいたのですが)と繰り返しうめく
ように言っていたことが見付かりました。

子供は恥についてノイローゼになっていました。母親をクリアリングしていくと、
彼女の母親も彼女が生まれる時に「恥ずかしい、恥ずかしい」とうめいたことが
見付かりました。

恐らくこれは、*クフ王が墓を建造して以来、伝染によって脈々と続いて
きたのでしょう。

社会というさらに広い領域では逸脱の伝染は極めて危険であり、その社会の
健全さを徐々に蝕む致命的な要因であると考えざるを得ません。

 社会組織は有機体と似たように活動し、社会の内部には社会の逸脱が
存在します。

社会の構成要素は細胞ではなく人間ですが、有機体と同じように成長し
衰えます。

社会の指導者がその社会の構成員に痛みを向けると、逸脱の源が生まれ、
伝染していきます。

体罰に反対するのは、「人道的」な理由からではなく、実際的な理由に
基づいています。

構成員に対して、どのようなものであれ懲罰を与える社会は逸脱を伝染
させています。

社会には社会的規模の社会的エングラムがあり、それが懲罰は必要だと
いうのです。

罰が与えられます。刑務所と精神病院がいっぱいになります。
そしてある日、政治的エングラムを*専横させてきた政府によって第一領域に
押し下げられた社会のある部分が飛び出して、政府を転覆させるのです。

そして、破壊に伴った暴力から新たに一式の逸脱が生まれます。暴力に
よる革命は逸脱の新しいサイクルを始めるために、決して成功することは
ありません。

 逸脱した人々で満たされた社会は、懲罰が必要だと感じるのかもしれません。
懲罰以外に方法がなかったのです。

グループの構成員による反社会的な振舞いを強制する手段が何かということは、
政府が体罰の慣行を継続させる上で、ちょっとした関心事以上のものとなります。

これらに過去から継続してきた逸脱を加えれば、その政府の生存の可能性は、
著しく押し下げられ、いずれは崩壊することになるでしょう。

このようにして多くの政府が崩壊していけば、その国の人々も地球から
消えるのです。

 戦争と呼ばれる社会的な狂気ほど、逸脱の伝染を最も明らかに表すものは
ありません。

戦争が戦争の必要性を失くすことは決してありません。

民主主義の名のもとに世界を救う戦いも、儒教思想から世界を救う戦いも、
最終的にはすべての人々に敗北をもたらします。

過去に、戦争は競争と結び付けられ、それゆえ狡猾な論理でもって必要であると
信じられるようになりました。

問題に対する解決策として戦争に突入する社会は、必然的に自らの生存の
可能性を押し下げます。

国民の自由を犠牲にすることなく、戦争を始めた政府などあった試しが
ありません。

最終的な生産物は、権力を持つ聖職者たちの無気力です。

そこでは、神秘と迷信だけが正気を失った残存者たちを団結させる唯一の
手段としてあるのです。

これ以上付け加えるまでもなく、人間の歴史にたくさんの例を見付けることが
できるでしょう。

戦争を行う民主主義国は、その民主主義的な権利を常にいくらか失っています。
戦争を繰り返すにつれて、やがて独裁者の支配下に置かれます(たった
ひとつのエングラムによる統治です)。

独裁者は自分の統治権を押し付けながら、少数派に対する行動によって逸脱を
増大させていきます。

反乱に次ぐ反乱が続きます。聖職者たちが栄えます。無気力が待っています。

そして無気力の後には死が訪れます。こうして、かつてのギリシャ、ローマが
滅びたように、現代のイギリス、ロシア、アメリカも滅びていくでしょう。

その時はともに人類も滅びます。

 力による支配は力が力を招くため、親愛の情の法則を破ります。

力による支配は、社会における個人の自己決定力を減じさせ、そのため
社会自体の自己決定力も減じます。

逸脱の遺伝は野火のように広がります。エングラムはエングラムを
招きます。

逸脱を引き起こす環境から逃げて新たな土地で混血を進める民族によって、
あるいは個人をクリアーにして逸脱の伝染を終結させる方法を持つことによって

この螺旋状悪循環を止めない限り、種族はサイクルの終わりとなるゼロ領域にまで
行き着くことでしょう。

 種族は、個々の構成員が自己決定的である程、偉大なものとなります。
 
 国家と同じく、家族というより狭い領域においても逸脱の伝染は最高の
生存状態を妨げます。

 合理的な回答を出すコンピュータをつくる唯一の方法は自己決定を与える
ことです。

7を押したままにすれば、計算機は間違った答えを出してしまいます。
固定した、合理化されることのない答えを人間に入れ込めば、彼は間違った
答えを出すでしょう。

生存は正しい答えに懸かっています。エングラムは外部の世界から理性的な
思考の下にある隠れた部分に入り込み、合理的な答えを出すことを妨げます。

これは外部決定です。自己決定を妨げるものは何であれ、必ず間違った
判定へと導きます。

 クリアーは協力的であり、クリアーによって構成される社会は協力的な
ものとなるでしょう。

これは、ただの牧歌的な理想郷の夢かもしれないし、そうでないかもしれません。
全員がクリアーである家族には調和と協調が見られます。

クリアーは、より優れた判断を見ればそれとわかります。目的に向かって
せっせと働かせるために、クリアーを殴ったり、押さえ付けたり、無理に
従わせる必要はありません。

クリアーの考えとは別にして、従わせようとする場合、自己決定の妨害を受け、
正しい答えを出せなくなってしまいます。

クリアーを抑制する社会は、そのようにすることで自らに不利益を招きます。
クリアーが持っている合理的に思考し行動する能力を利用できなくなるから
です。

クリアーに強制するためには、彼にエングラムを与えるか、その脳を
神経外科医の好きにさせるしかありません。

しかし、クリアーを強制する必要はありません。

なぜなら、一般的な必要性という観点から見て、仕事に相応の重要性が、
あるならば、彼は自分の知性に従って可能な限りそれをうまくやるからです。

強制された社会が、同じ程度に繁栄している自由な社会には決してかなわない
ことと同じです。

 すべてが家長の意志で動いている家族、つまりひとりの命令に盲従しなければ
ならない家族は、決して幸福ではありません。

物質的には豊かであったとしても、その見せかけの生存性は表面的です。

 強制されているグループの能率は、共通の優れた目的に向かって働く自由な
グループの能率に比べて例外なく劣ります。

また、逸脱している構成員を持っているグループは、伝染を通してグループ自体が
すっかり逸脱することになるでしょう。

逸脱したメンバーを抑えようとすれば、必然的にグループ全体も抑えられ、
さらなる抑制へとつながります。

 逸脱した家族の中のひとりをクリアーにするだけで家族の問題を解決すると
いうことはめったにありません。

夫が逸脱していれば、肉体的な暴力を振るわずとも、妻や子供を何らかの形で
逸脱させるか再刺激します。

両親が共通に抱えている逸脱を子供に植え付ければ、子供は潜在的に自己決定的で
あるために、両親に反抗し、彼らの逸脱をあおります。

こうした伝染による数多くの逸脱は、家族全体の中で相互に共有されるものとなり、
家族の幸福はひどく蝕まれます。

 子供に与えられる体罰は、強制力の下にあるグループが抱えている問題の
もうひとつの側面にすぎません。

子供への体罰の必要性について論議したいのであれば、彼らの非行の原因を
よく調べてみるといいでしょう。

 逸脱した子供のエングラムは完全に*キー・インしていないかもしれません。
結婚して子供を持ったり、妻が妊娠する段階になって初めて、十分な数の
再刺激要因に出合い、いきなり成熟した大人になってしまうのかもしれません。

世界が美しく見えず、悲嘆の重荷を背負った人間です。とはいえ、子供も逸脱
しており、たくさんのドラマ化を持っています。

子供は母親と父親という最も強力なふたつの再刺激要因が存在するひどく
不運な状況に置かれています。

彼らは自分たちが子供に体罰を行使する権利を持っていると思っています。
子供にとって彼らは巨人です。

子供自身は小人です。また、子供は衣食住について親に頼らないわけには
いきません。

ほとんどの子供が持っているエングラムのことを知ったなら、堂々と「子供
時代の惑い」などとは言えません。

 子供は両親のドラマ化をすべて受け止めるという過酷な立場に置かれて
います。

クリアーになった子供はまさに注目に値します。

彼は人間です!

親愛の情だけが彼にさまざまな状況を切り抜けさせます。
甘やかされた子供とは、絶えず決定を邪魔され続け、独立心を奪われた子供です。

愛情を注いで子供がだめになるということはあり得ません。バケツいっぱいの
ガソリンを注ぐことで、太陽の火が消えたりしないことと同じです。

 「児童心理学」の全体像は、子供とは一個の人間であり、尊厳と自己決定の
権利を与えられている、というものです。

逸脱の伝染があり、またドラマ化や反抗の権利を否定されているために、逸脱した
両親の子供は当然問題です。

驚くべきことは、子供が問題であるということではなく、子供はいくらかでも
正常に行動するということです。

なぜなら、今日の子供たちは、逸脱の伝染と体罰、また自己決定を剥奪される
ことによって理性的な生活に必要なものを全く手に入れることができないから
です。

そして彼らこそが、未来の家庭と人類の担い手なのです。

 これは子供や政治についての論文ではなく、逸脱の伝染を扱う一章です。

ダイアネティックスは人間の思考を扱っており、人間の思考は広範囲にわたって
います。

伝染のメカニズムが持つ潜在的な影響力を凝視してみると、人間の生来の
安定性に敬意を感じずにはいられません。

人間が生来利己的な傾向でもって反応する野生動物であったなら、*ニネベや
*ボールダー・ダムが築かれることはなかったでしょう。

海の老人のように伝染のメカニズムという重荷を背負いながらも、私たちは
遠くまでやって来ました。

これを知った今、私たちは星々にまで到達することができるかもしれません。



                     L.ロン ハバード


《用語解説》

サルファ剤:かつてさまざまな細菌による感染症を治療するために
使われた薬物

ペニシリン:細菌が原因となって生じる感染症や、深刻は病気の治療に
使用される強力な薬品。

エングラム(Engram):個人、グループ、社会により経験された無意識と敵意を
含む、肉体的な苦痛の時間。その後、不合理で、再刺激され得るドラマ化として
存在する。


ドラマ化(dramatization):行動で表現すること。劇を演じるように自らを
表現すること。したがって、「破壊的なドラマ化」とは、反応心に含まれる
破壊的な経験を演じることを意味する。

クリアー(CLEAR):最適な状態にいる人。もはやエングラムを持っていない
状態。

クフ王:(紀元前26世紀に在位した)エジプトの王で、世界最大の
ピラミッドの建造者。そのピラミッドは、「大ピラミッド」として知られ
そこに彼は埋葬された。

専横:[名・形動]好き勝手に振る舞うこと。また、そのさま。わがまま。
       -大辞泉より-

キー・イン(key-in):文字通り、「キー」とは電子的な接点を開閉したり、
スイッチを入れたり切ったりするための手動の小さな装置のこと。
ここでキー・インとは、活動を休止していたエングラムが活性化されて今や
回路に入れ込まれた状態を説明するために使われている。

ニネベ:古代アッシリア帝国(現在の北部イラク)で人口の最も多かった、
最古の都市。(紀元前700年頃)。そこには、運河や水路、大通り、庭園、
宮殿、そして周囲を取り囲む12キロの壁といった精巧なシステムがあった。

ボールダー・ダム:合衆国のアリゾナ州とネバダ州の州境のコロラド川沿いに
位置するダム(現在は「フーバー・ダム」と呼ばれている)。このダムは、
工業技術における偉業である。高さ221メートル。


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                        高橋 祐司

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